2015.10.09
ダンサーインタビュー 13:SHUHO(TOKYO FOOTWORKZ)
ーダンスを始めたきっかけは?
中学生くらいの時に先輩から借りたCDで聞いたHOUSEやTECHNO Musicにハマって、その流れでダンスにも興味を持つようになりました。それで上京した大学時代にストリートダンスの中にもHOUSEっていうジャンルがあるのを知って、自分が聴いてた音楽で踊るダンスがあるっていうのが衝撃で、迷わずHOUSEから始めました。
ー上京するまではダンスはしてなかった?
一切してないですね。スポーツはずっと軟式テニスをしてました。うちは家族全員そうで、兄貴も特待生で高校入るぐらいやってて、俺もけっこう本格的にやってましたね。
ーそれだけやってたテニスをやめてダンスを始めるって凄いですね。
ダンスやりたかったからですね。俺の地元はダンサーとか全くいなくて興味のある人も少なかったんで、始めるきっかけがなくて、それで東京に上京して始めました。レッスン受けたり、クラブ通いですね。クラブばっかり行ってましたね。
ーそんな中で影響をうけたダンサーとかいますか?
やっぱりNYのダンサーは凄い影響受けましたね。DANCE FUSIONのメンバーだとか日本の人たちで言えばROOTSってう日本で始めてのHOUSEチームだとか、自分の兄貴的な存在でWaDooさんとか凄いその周りの人たちに影響受けました。ダンス始めた当初からその人達と一緒にいたので環境は滅茶苦茶良かったと思いますね。
ーオールジャンル踊りこなす中でなぜ最終的にHOUSEに?
他のジャンルに興味を持ったきっかけは、大学を卒業してからNYに5年半くらい留学してたんですけど、NYのシーンって凄い色んなジャンルを皆踊るんですよね。
基本クラブカルチャーなんで、クラブでいろんな音楽がかかる中でいろんな音楽で踊れないとなんか自分もつまんないなって思ったんです。それがきっかけでHIPHOP、POP、LOCKとか色んなジャンルの格好良い人達を見て自分もやってみようかなって、気持ちが芽生えました。色んなものを学ぶことによって逆にHOUSEダンスってのを深く掘り下げていけるかなって。ダンスの理解度も全然違いますからね。
ーDANCE@LIVEではFreeStyleで出ているのもそういったことがきっかけですか?
自分がNY時代に一番通ってたクラブはHOUSEダンサーよりB-BOYの方が圧倒的に多いんです。その中で皆同じサイファーで踊るんですけど、B-BOYは技も凄いんですよ。でもHOUSEの方が自分は格好良いなって思っていたので、HOUSEでどうやったら他のジャンルの人たちより格好良く踊れるのかなとか、どうやったら勝てるのかなとか考えるようになりました。
色んなダンサーとセッションして初めて他ジャンルの格好良いところとかが見えてきて、HOUSEにはない格好良さや、逆にHOUSEにしかない格好良さも、見つけられたので、それが一番FreeStyleに出てるキッカケかもしれないですね。
ーTOKYO FOOTWORKZ結成のきっかけは?
自分がNYから帰ってきた時には凄い日本のダンスシーンは変わってました。キッズダンサーが増えていたり、バトルの大会も増えてチームがなくても有名になれるというか、ユニットや個人の時代になったなぁ、と。
その一方で、一生懸命チームでやるって所がHOUSEのチームも含めても少なくなってきて、逆に新しいHOUSEのカルチャー、時代に合ったこれから先もしくは今のHOUSEを引っ張っていったり作っていったりしよう、って思う子達を集めて自分が声をかけて結成したのがTOKYO FOOTWORKZなんです。
HOUSE以外のエッセンスも凄い沢山いれたりとか、新しいHOUSEの形を見つけていこうっていうのがきっかけでした。
ーショーのネタの案は誰が作ってるんですか?
基本的には自分がコンセプトを言って、そん中で皆の良さを引き出していくって感じですね。早いときは1日でつくりますよ。
ー1日!?
俺は凄い作るのが得意で、皆は覚えるのが得意なんで早いんですよね。だから逆に早くできちゃうからあんまり練習しないってのも悪い所なんですけど(笑)。
ーでも集まった時、筋トレとか凄いって聞きますよ?
TOKYO FOOTWORKZを作った時にみんな体が出来てないって言って、ひたすらさせてたんですよ。これから自分がやろうとしてるHOUSEダンスは身体的にも必要なものになってくるから、まずそこからチーム全体で始めていこうって事で、結構軍隊みたいな感じでひたすらやってましたね(笑)。
ー相当ハードそうですね。
結成して1ヵ月後にすぐDANCE DELIGTの予選があって、チーム歴1ヶ月で、皆が共通で出来ること、皆にしか出来ない事を考えたら筋トレだったんです。でもモチベーションだけは皆高くて、手ごたえもあったので、準優勝になることできてJAPAN DANCE DELIGTにも出させてもらえました。
チームとしての積み重ねがないとなかなか勝てないコンテストに勝負するにはやっぱりそういう所からやってかないと絶対勝てないと思うんで、そういう練習をしました。皆で頑張って同じ辛い事をやる事で一丸となって頑張るというか、チーム意識が高まったと思います。
ースクールレッスンで大切にしている事は?
そのジャンルの楽しみ方とか、このダンスってこういうものだよって事をいち早く理解してもらうようにしてますね。
ダンス以外でも皆の共通知識の中に、歴史だとか時代背景とか、多分あると思うんですよ。だからダンスもこうゆう歴史があってこういうステップが生まれて、この音楽があるからこのダンスになったんだよとか、教えています。ダンスやってない人は全く未知のものをやってるって感覚があると思うけど、実は皆が知っている事と繋がっているんだよって気づいてもらえるようにやっています。
ー皆に響いたなって思う時は?
あ、そうだったんだ、なるほど!みたいなのが皆に伝わった時のお互い共有できるその瞬間は嬉しいですね。このステップが出来るようになったってことよりも、このジャンルってこういう楽しさがあったんだねって気付いてもらった時は嬉しいですね。
ーレッスン後のお茶会が印象的ですが。
次のレッスンまで時間があいてて、NOAで時間つぶして皆で話していたのがきっかけで、生徒の一人がお菓子を買ってくるようになって、それからずーっとですね。いつからか当たり前になって。でもゆっくりするのNOAだけなんですよ、俺。NOAの池袋だけは続いていますね。
ーそこで色んなダンサーさん達との絡みも面白いです。それって生徒さんからしても凄い貴重ですよね?
そうですね、色んなダンサーさん達が入ってきて話していますね。普段なかなか話すきっかけもないので、そうゆう時に話したりもするので、自分にとっても貴重だと思います。
ー最近レッスンに来始めた人も参加OKなんですか?
僕ら全然ウェルカムです。1週間のうちで池袋のあの時間だけなんで、質問してくれたりして、皆いつでも参加して下さい(笑)。
ーSHUHOさんはいつもお洒落ですが、ファッションはどこから取り入れてますか?
もともとファッションや服が好きなんです。あと、イメージなんですけど初期の頃のダンサーってビジュアルから入ってるんで凄いお洒落なんですよね。NYのダンサーもホントお洒落で、そこに命かけてるって感じで。自分がダンスに惹かれるきっかけになったのもファッションの格好良さもあったんで、自分の中でダンスとファッションは切り離せないものです。
モードファッションもストリートファッションも好きで、その二つの融合である今のファッションが好きですね。本来HOUSEのクラブって敷居が高い所でお洒落していくので、そういう所も格好良いって思っていました。
ーファッションでも見本になるような?
ダンサーじゃない人がダンサーを見てダサいなって思われるのが凄い嫌で(笑)。ダンスって本来、格好良くてイケてるものだって信じてるんで、他の業界の人が見ても格好いいなって思ってもらいたいです。
まぁぶっちゃけ自分は好きだからやってるだけなんですけどね(笑)。
ー音楽に関してはどこから情報を得てますか?
何個か探すサイトがあって、チャートをチェックして今の流れとか、自分の好きなアーティストを掘り下げてます。今は無名でも沢山いい曲があって。今の音楽の流れは配信だと思うので最新の音楽があがってるWEBとかは常にチェックしてます。
ーネタで使う曲は最新のものが多い?
コンセプトが決まっててそれに合う楽曲を選ぶ時もあるし、この曲やばいって曲からインスピレーションがわいてくることもあるので、音楽からもらうこともあるのでその都度変わりますけど、両方ですね。新しい音楽を聴くことでインスピレーションをもらえるし、ダンスも音楽に応じて進化していくので、良い音楽をたくさん聞いたら良いダンサーになれると思っています。
ー好きな音楽はありますか?
R&BもHIPHOPも民族音楽だとかも好きです。好みもあるけど音楽って食べてるものと同じで、昔嫌いでも今聞いたら好きになるとかあるので、今は色んな音楽を聴きたいですね。
ー音楽を知っていればその分バトルとかも有利になりますもんね。
もちろん有利ってのはありますが、自分の場合、バトルは自分のダンスをしようっていうより、知らない音で踊りたいっていうタイプで、新しい音楽で新しい発想が生まれたり、この音楽に自分が合わさると自分がどういう踊りをするんだろうって楽しみも魅力ですね。音楽の世界観を早く感じて、体で表現するって感覚です。
ーバトルに挑戦しようとするダンサーにアドバイスはありますか?
いっぱい音楽を聴いた方がいいですね。同じ曲を聞き込む事も、新しい音楽を聴く事も大事で、どっちかによらずに両方やって欲しいです。それだけ音楽を聴く時間を大切にして欲しいし、常に音楽を聴いてると、その内体を動かさなくても頭の中で練習できるようになるんで、人より踊ってる時間が多くなるんじゃないですかね。体を動かすのは限界あるけど頭を動かすのに限界はないので、音楽さえあればどこでも踊れると思います。
ーダンサーとして今後の活動は?
今、メディア関係だったりタレント関係の仕事も多いんですけど、基本的にはダンサーとしてメディアに出てるので、ダンスのカッコよさだったり楽しさをダンスを知らない人達に伝えるのが自分の役目かなと思っています。色んなものにチャレンジして、伝えていける活動がいければいいかなって思います。自分がダンサーとして活動活躍することで、若い子達のダンスの仕事が増えると1番嬉しいですね。ダンスシーンがもっと食べていけるシーンになったら嬉しいですね。
ーダンス以外での今後の活動は?
ファッションも好きなのでファッションブランドやったりとか、クラブも好きなので、そういうものをクロスオーバーした場所を作りたいですね。ファッションとダンスと美味しい食べ物のイベントをしましょうみたいな(笑)。他ジャンルが合わさった所を提供できればいいかなって。ってことで色んな業界の人と新しい繋がりを生む人間になれたらいいですかね。
ーこれからダンスを始める人たちへ一言。
ダンスを特別なものって思わないで、自分なりの楽しみ方をしていいと思います。それが見つかれば1番いいじゃないですか。ダンサーはお節介なんでその先にはこうゆうのがあるよって教えたくなっちゃうんですが、趣味でエクササイズとしてやってる人も楽しいならそれはそれでいいと思うし、色んな楽しみ方していいと思います。ダンスを人生のスパイスでもメインでもいいので、とにかくダンスを楽しんで欲しいですね。
ー今日はありがとうございました。
SHUHO(TOKYO FOOTWORKZ)
House Danceの聖地New Yorkにて、"The House DanceProject"の中心メンバーとして、5年間活動し、"The Carnival"や"SF Hiphop Dance Fest"など数々のShowに招待されるなど、他国でのワークショップやShowを含め、世界的に活動しているダンサーである。彼は、House Music界において、もっとも勢いのあるアーティスト&プロデューサーである"Mr.V"のステージダンサー、コレオグラファーとして「Da Bump」のP.Vや各地でのライブステージに出演する等の
活動の一方で、ブライアングリーン主催の「House Dance Conference 2007」優勝や、1on1のハウスダンスバトル世界一を決める大会、「House Dance International」においても、2007、2008年と連覇し世界チャンピオンになる等、バトラーとしての顔を持つ。現在は、VOGUEの神である"Willie Ninja"の作った伝説のチーム"House of Ninja"の新メンバーとして、VOGUEの普及にも努めている。日本に帰国後、日本最大のソロバトルイベント「DANCE@LIVE FINAL 2010」のハウスサイドのグランドチャンピオンに輝く。