2014.2.04
「カルト・ムービー」という言葉を世界に知らしめた最高のロック・ミュージカル! 「ロッキー・ホラー・ショー」は1975年公開の映画。原作は1973年にロンドンで初演を迎えたロック・ミュージカルだ。原作、作詞作曲は出演も兼ねるリチャード・オブライエン。仕事がない間の暇つぶしに作り上げたという。 物語は「フランケンシュタイン」のパロディー。人造人間を作り上げる科学者が、コルセットと網タイツ、ハイヒールに身を包んだ、性を超越して誰もかれも誘惑しまくるドラァグ・クイーンという強烈なものだ。そして、全編にリチャードの好きなB級SFホラー映画のネタ、セクシャルなジョーク、そしてロックがつまっている。彼はそれを、演出家ジム・シャーマンに見せた。物語の1曲目に作った「SF怪奇映画2本立て」を披露すると、ジムはその気になり、プロデューサーを口説き落として上演にこぎつけた。 1973年6月、ロンドンの小劇場で初演の幕が開くと、ドラァグ・クイーン=フランケンフルター博士を演じるティム・カリーの怪演と、ロックンロールに彩られた、毒々しくて、官能的で、魅力的なステージが観客たちの度肝を抜いた。当時、倒錯した世界を軽快なロックンロールにのせたグラムロックが全盛だったが、「ロッキー・ホラー・ショー」は図らずもグラムロックと見事にシンクロした。公演は大成功に終わり、映画館を改装した大きな劇場へと場所を変えロングラン、しかもイヴニングスタンダードのミュージカル部門でベストミュージカル賞まで受賞した。すぐにアメリカ公演も決まり、ロサンゼルスでの初演の評判からすぐに映画化が決まった。 映画版は、低予算という制限つきだったが、オリジナル・ロンドン・キャストがそのまま出演することになった。監督は初演を演出したジムが担当。仕上がった作品は、もともとB級映画への愛に溢れた作品であるだけに、全体のトーンもオマージュに溢れたものとなった。しかし、雲行きが少し怪しかった。映画の公開前に宣伝と相乗効果のヒットを狙い、アメリカ公演の会場をロサンゼルスからブロードウェイへと移したところ、それまでの評判がウソのように即終了してしまったのだ。 映画は1975年9月、アメリカ国内8都市で公開がスタートしたが、不入りですぐに撤退。映画会社は若者の多い大学のある街の映画館で再公開したが、結果は同じ。会社幹部を戦慄させた。しかし、捨てる神あれば拾う神あり。ニューヨークにはもともとB級映画を2本立て3本立てで公開する古びた映画館がたくさんあった。通常では絶対にヒットしないような映画を週末の深夜興行で成功させている劇場もあった。会社はここにかけた。1976年4月、NYで「ロッキー・ホラー・ショー」の深夜上映が始まった。 深夜上映はすぐにリピーターを獲得し始めた。そして、誰が始めたのかはわからないが、公開からしばらくすると観客が映画のスクリーンに向かって反応するようになった。最初は、役者の演技(主に新キャストの2人)やベタなシチュエーションへのツッコミだったのだが、劇場に持ち込んだ小道具を役者のせりふや動きに合わせて使うようになった。そしてついには、お気に入りのキャラクターのコスプレをして来場していたファンが、スクリーン前に駆け上がり、キャラの動きに合わせて物真似を始めた。これをきっかけに、観客はそれぞれ好みのキャラクターのコスプレをして来場し、スクリーン前で同時進行で演じるのがお約束になった。 キラーチューン「タイムワープ」のシーンでは観客は総立ちで踊る。リピーターは増え続け、この熱気がメディアに取り上げられると、全米200館に拡大公開された。各地で観客参加型のライブ形式上映が定着していった。1979年までにニューヨークだけでも20の映画館で週末の深夜上映が行われるようになった。驚くべきことは、この現象は初公開から40年近く経った今も現在進行形。1980年代以降、カルト的な人気は世界規模なものになり、ファンは世代交代し、親子でコスプレしているものもいる。日本にもハロウィンの夜にライブ形式の上映を行う映画館があるほどだ。 とはいえ、そればかりが「ロッキー・ホラー・ショー」の魅力ではない。古典SFホラーへの偏愛が生み出したプロット、刺激的にアレンジされた音楽、ティム・カリーの熱演、そしてポップでキッチュな感覚に溢れたプロダクション・デザインなど、この映画の魅力は一つにとどまらない。そして、製作者の意図を越えて、セクシュアル・マイノリティの人々に支持され、クライマックスの歌の一節、 "Don't dream it , Be it ! "(夢見てちゃダメ、夢になりなさい)は、今も世界中の小心者たちに勇気を与えている。
ロッキー・ホラー・ショー |
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