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ダンサーインタビュー 16:ATSUSHI(3KICK SPLITS)

2016.4.12

ーダンスを始めたきっかけは?
 高校生の時に友達が文化祭で踊っているのを見てカッコいいなと思って。だけど、その時は受験とかあったので始められずに、大学に入ってから始めました。丁度、友達がダンス習いたいって言っていて、俺もやりたかったから、一緒に付いて行ったのが始めたきっかけ。それが大学二年生ですね。

ー大学生からダンス始めたんですか。
 最初は全然できなかったので、一ヶ月ぐらいで諦めようかなと思っていました。自分ちょっとセンスないのかなと。でもせっかく始めたから、ちょっとは続けよう!とやっていくうちに、スタジオでショーに出たり、スタジオの先輩に誘われてショーに出るようになったり、大学で一緒にやっていた同級生とチームでやるようになったりしました。まさかこんなにダンスを続けるとは思ってなかったです。

ーどんどん活動の幅が広がっていってみたいな?
 そうですね。それで上京もしました。地元は愛知県の名古屋市で、大学は岐阜大学に行っていました。大学ではダンスサークルというか、最初は二、三人しかいなかった小さな活動でしたが、自分たちのチームメイトと同級生で、ちょっとずつ輪を広げていきました。ストリートダンスがやりたい!っていう人達で集まって大きくしていった感じですね。

ーすごいですね!
 今ではその大学でダンスやっている人もいっぱいて、たまに地元に帰ってイベントに出たりとか、今年の一月からは、地元でイベントも始めました。そこで最初に大学でダンスを始めた同級生もいて、同じコンテストに出たりしているんですけど、繋がりのある同じ大学の後輩達を紹介してもらってまた輪が広がりました。結構その大学のサークルでLOCKやっている子も多くて、始めてよかったなと思います。

ー素敵ですね。卒業後もまたダンスで繋がれるのがいいですね。
 イベントを始めたのは東京にいながら地元の名古屋で何かできないか、というのがきっかけなので。ここでそういう子達と繋がって、活躍する子達がでてきてくれたらいいかなと思ってやり始めました。

ーダンスは始めた時からずっとLOCKダンスですか?
 最初はジャンルも分からなくて、十五年前に通っていたスタジオは、当時ジャンル分けがまだなかったんです。HIPHOPかどうかも分からず最初は始めました。後から振り返ると、あれHIPHOPだったんだみたいな(笑)。

ー今ならわかるみたいな(笑)。
 そうそう(笑)。でも一個の振り付けの中に色んなジャンルが入ってたりしていた。週替わりで振りが変わっていたりもしたし、その中で「あ! なんかLOCKダンスみたいな動き、好きかも」と思っていました。
 あと当時「RAVE2001」というTRFのSAMさんが深夜にやっていたコンテスト番組みたいなのがあって、そこに出ていた『21.5(トゥエンティーワン ポイント ファイブ)』っていう福岡のLOCKチームが一番好きだったんです。そのチームを見てLOCKかっこいいなって、のめり込みました。

ーそこからがLOCKダンスのはじまりなんですね。
 このダンスカッコいいなとか、HOUSEもHIPHOPもかっこいいなとか思いながら、いろんな音楽が好きだし、LOCKで使うFUNKだったり、SOULやDISCOも、もちろん好きです。どの音楽も好きなんで、そのジャンルをやっている友達に教えてもらいながら、かじったりはしました。でも基本的にはLOCK一筋ですね。

ーATSUSHIさんがLOCK一筋になった、その魅力はなんだったんですか?
 他にはないLOCKの形とか、いわゆるポイントとかのキメの形がカッコいいなって。LOCKダンスにキメのかっこよさを感じました。あとは、グルーヴだと思うんですけど、他にはない止めの美学があって常々自分も大事にしている所だし、それを生徒さんにも伝えたいです。まずは基礎ステップを自分の身になるまで練習して、そこから崩したりとか、LOCKダンスのフィルターを通して、自分なりの形を身につけるっていうのが大事なことだと思います。

ーこんなに経歴があるにもかかわらず、コンテストやバトルにまだ挑戦していて、先日も「NAGOYA DANCE DELIGHT」で優勝していましたね!
 「JAPAN DANCE DELIGHT」は自分にとって特別なもので、ダンス始めた何年か後に決勝大会を見に行ったんですが、その衝撃が凄すぎて今でも覚えています。  まずは「FINALに出ること」が自分の夢でしたが、その夢が叶ってからは、「このステージで優勝したい」って事が夢になりました。初心に返って、常にチャレンジャーでいさせてくれるのが、他のコンテストとはちょっと違う特別なもので、青春みたいなものですね。やっぱり「JAPAN DANCE DELIGHT」で優勝したいですね。

ー「NAGOYA DANCE DELIGHT」本当にかっこよかったです! 俺らについてこい感が伝わりました。
 そういう姿勢を生徒さんとか後輩にも見せて、育って欲しいですね。自分がチャレンジャーでないと、一丁前の事も言えないですし、もちろん経験も大事ですから。  周りから、もう出なくてもいんじゃないかと言われたりもするけれど、それだけの魔力があるコンテストだし、こうやってメンバーが揃って踊れるのも楽しいですし、そこで優勝をとりたいなと思います!

ーもう背中を見て沢山の生徒さんが付いてきていますよね。
 プロを目指している子にはもちろん厳しく言います。ただその中でも楽しさがないと絶対伸びないと思っています。コンテストやバトルに出すぎて、本当にダンス楽しいのかな?って思う部分もありますし。もちろん負けた悔しさで伸びるのもありますけど、勝ちにこだわりすぎたり、逆に楽しさばっかりにとらわれすぎたり、ダンス始めた頃の自分もそうでした。要はいろいろ経験して悩みながら成長していって下さい。っていうことです(笑)。今は36歳なんですけど…

ーえーっ! 36歳ですか?
 アラフォーです(笑)。一生懸命になること、あとは人それぞれだけど気持ちも踊らすというところは生徒さんに大事に伝えます。というより、そうなれるようレッスンをしたり、訴えかけようとしています。
 ストップがはっきり止まれるようになったとか、もっと体が効くようになったりとか、生徒さんが変わってくれるのが嬉しいです。ふとした瞬間に上手くなったな、皆の意識が変わったなと思うと、自分も楽しくなるし、やりがいを感じます。

ー元々インストラクターとして教えるのが好きなんですか?
 地元にいた頃にインストラクターで2、3年生活していたんですけど、一時、自分は本当にインストラクターになりたいのかな? 教える事が自分の中にとってダンスなのかな?と考えていて、凄くモヤモヤしていました。上京した当初は、インストラクターをやめて、バイトしながらダンスをやっていました。インストラクターに対して葛藤もありましたが、次第に教えることも自分の中でダンスだと思えるようになりました。やっていなかった期間があったからこそ、教えることの大事さや大変さ、そこの意味を自分の中で再確認できたので良かったですね。

ー一日のスケジュールてどんな感じなんですか?
 昼前に起きて、ご飯食べて、振り付けを考えたり、昼に練習があったり、ナンバーで使う曲を作ったり、自分のコンテストに出る曲を作ったり、構成を考えたりとかして、大体レッスン前は過ごしています。それからレッスンに行って、終わったら、練習がある時は深夜練に行きます。

ー羨ましい生活ですね。
 好きなことやっていますね。自分は舞台もやってないし、バックダンサーのように朝から夜まで拘束される仕事もないし、結構自分の好きな様に時間を使っている方かもしれないです。
 神経を使う時間はそういう人達より多くはないと思うんですけど、自分の中ではその一つ一つで気持ちのエネルギーを凄く使っています。先日の「NOA DANCE CONECT Vol.5」のナンバーも31人いたので、頭を使って構成を考えたりして大変でした。でもまずは自分が楽しくなければ、その楽しさは人には伝えられないので、苦しいこともありつつ、楽しみながら、仕事、ダンス、レッスンできたらいいかなと思って日々やっています。

ー今後ダンスでこういう風に活動していきたいなみたいなビジョンはありますか?
 さっき話に出たんですけど、一つは夏にある「JAPAN DANCE DELIGHT」で優勝する事が、今年の目標です。後は、地元名古屋でやっているイベントを、東京にいながら年に二回継続して、やっていきたいです。今はこの二本柱だと思いますね。

ープロダンサーだから掲げられる目標ですね! ダンスを始めた時から今の生活のようにダンス一本でやっていこうと?
 最初は思っていなくて、簡単に言えばいつの間にかダンスを始めて(笑)、大学4年生で就職活動の時期にぶつかったけど、就職したくなかったんです。社会に出たくない一心で。
 当時は、大学生から社会人になってダンスを辞める人が沢山いた中で、自分はどうしようかなと考えたときに、よし! 大学院に行こう!と思いました。

ー大学院に!
 大学院に入ってからは、チームでコンテストに出始めて、入賞や優勝をして、そこからレッスンも一、二本持たせてもらえましたが、大学院も朝から夜まで拘束されて、両立が難しかったので、結局1年間休学して大学院も辞めてしまいました。
 でも負けず嫌いなんで、ダンスを続けて上を目指したい気持ちでひたすらやっていたら、それを目に留めてくれる人がいて、仕事をもらえたり、レッスンを持たせてもらえました。
 ダンスをしたいな~、しようかな~、と曖昧な感じで、就職するのを引き伸ばしたんですけど、やっぱダンスだなと、やるからには、しっかりやろうという気持ちが年々強くなっていきました。

ー就職を前に、同じような壁にぶつかっている大学生も多いと思うんですけど。
 社会人になって2年ぐらい辞めてたけどとか、大学生のときやってて、またやりたくなったっていう人もいます。今はダンスを続けられる可能性が沢山あるので、自分のペースや環境で続けてほしいです。中には一旦社会人になって辞めたけど、ダンスもう一回始めて、そこからプロを目指す人もいます。だから皆さんにはやりたい気持ちは抑えずにいて欲しいなと思います。

ーダンスをやっている方たちにメッセージをお願いします。
 夢を持って欲しいです。夢といっても人それぞれなので、夢(目標)なんですけど。例えばプロになるなら、こういう風なダンサーになるとか、ダンスを始めたてなら、こういう風に踊れるようになりたいとか、このステージに立つとか、何か一つ小さなものでも、目標や夢があると、そこに行く過程もハッキリすると思います。  自分の生徒さんにも、常々言っています。何か目標とかそういうのを持って生きて欲しいです。やっぱりダンスを始めたてって、まだ一つ一つのことをやる事で精一杯だと思うんですけど、その中でもこういう動きができるようにって目標を一つ立てる事で、向上心も勿論出るし、上手くなるきっかけにもなって、達成感も出ます。そういう喜びが、ダンスを続けるきっかけにもなったりするので、一つ目標、夢をもってやっていって欲しいなと思います。

ー沢山お話ありがとうございました!


ATSUSHI(3KICK SPLITS)
・JAPAN DANCE DELIGHT vol.15、16、18、19、20、21FINALIST
・TOKYO DANCE DELIGHT vol.14 優勝
・NAGOYA DANCE DELIGHT vol.5 優勝
・FREESTYLE SESSION JAPAN '08、'09 優勝
・FUNKSTYLE SESSION 優勝
・“THE CREW” LOCKIN’ CREW BATTLE 準優勝
・JUSTE DEBOUT JAPON 2008 LOCKIN’ 2on2 BEST4
・関東大学生ダンス連盟Σ 第19、20回連盟公演振付
・愛知万博『愛・地球博』出演
Etc…PROFILE

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