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ダンサーインタビュー 15:HIGE(BUZZER BEATER)

2016.2.10

ーダンスを始めたきっかけは?
 きっかけは、モテたくて(笑)。

ーモテたくて(笑)?
 うん。なんか男子校だったので、モテることで頭がいっぱいでした。

ー男子校だったんですね。
 その時バイト先の人が、LOCKダンスやっていたんですよ。それで、かっこいいですね!みたいになって、そこからLOCKを我流で始めて、テレビとかビデオとかで見よう見まねで始めました。

ーいつ頃、LOCKから今のHIP-HOPに切り替わったんですか?
 切り替わったというか、LOCKから始めて、ダンスの専門学校の時に、そこでひと通り全ジャンル、JAZZとかもやっていました。一応ですけどね(笑)。出身は大阪なんですが、昔はどっちかというと結構ガツガツHIP-HOPをやっていましたよ。

ーミドル系とかですか? 今からは想像がまったくつかないです。
なんかその専門学校の先生の中に東京出身の先生が1人いて、その先生がちょっとR&Bの曲使ったりとか、当時大阪には無かったような踊りをやっていたんです。それに影響されて、卒業して、東京に何回か行ったり来たりする内に、東京に興味持っちゃって。それで、出てきました東京に。

ーそうなんですね。専門学校を卒業してから、東京に出てきた感じですか?
卒業してからですね。

ー東京の人だと思っていました。
 関西弁はね、最近封印してるんです(笑)。

ー(笑)。1年でどれくらいの振り付けを作っているんですか?
 いくつなんだろう。だいたい、1ヶ月に2個は作ると思うんですよ。最低でも2個、それを12ヶ月分だから、24?

ーすごい数ですね!
 24いってるのかな? たぶんそうかもしれない(笑)。

ーインスタグラムに上げている動画とか、あれは即興なんですか?
 そうですね! その場でなんとなくイメージをちょっと作って、考えたりする感じです。

ー私のなかではHIGEさん=清水翔太さんみたいになっているんですけど。
好きですね。なんか、好きになりましたね。

ー作りやすいとかですか?
 専門学校に行っている時から、元々日本語の曲で踊る事が好きだったんですよね。でも、周りのみんなは、ほとんどそういうのをやってなかったから、なんかこういうのってあんまりみんなやらないんだな~みたいな感じで、その時はあんまりやらなかったですけどね。  でもレッスンとかナンバーとかでやってみたら、見ていて気持ちよかったり、自分を表現しやすかったりして、伝わりやすいな、と。やっぱりね、日本人だし日本語をもっと大事にしようかなって思ったきっかけもあったりしました。

ー素敵ですね。振り付けを作るときにコンセプトとかありますか?
その曲の歌詞を意識して、その情景が見えてくるじゃないけど、その曲の雰囲気をイメージして作りますね。その曲じゃないと出来ない、その言葉じゃないと出て来ない動きだったりとか、そういうのを意識しています。でも何かその時の心情にも合わせていたりするので、その時の気分でも作っています。

ー自分で自分をプロデュースする力って大事だなって思うんですけど、それがすごいHIGEさんから伝わります。何かそういう点で気にかけていることや、努力していることってありますか?
 確かに、清水翔太さんの曲ばっかり使っているのは、まあイメージづけもありますけど、さっき言っていたイコールみたいに、「この曲聴いたら、HIGEさんが思い浮かんだ」とか、やり続けることで、自分にしか出来ない表現、そういうことを思ってくれたら嬉しいし、大事にしたいですね。その曲で、その人の曲でやり続けるとか、そういう感じ大事にしています。

ーダンスやっているみんながHIGEさんを見て、後ろからも来てる、迫ってきてるじゃないですけど(笑)、そういうみんなに対して、メッセージだったりとかってなんかありますか?
 自分がダンスを習ってた時代には今みたいにいろんなレッスンがあって、受けたいダンサーのレッスン行ったら受けられるっていう環境が無かったので、自分たちでイメージして勝手に作ったりとか、誰かの動きをインスパイアしてやっていたりもしていました。  最近の子は、ダンス上手い子が多いし、良いと思いますけど、踊ってて誰々っぽいとか、誰々先生っぽいよね、とかっていうのが、上手いけど見え隠れしちゃうから、そういうのが無くなればもっとオリジナルのスタイルが見つけられるんじゃないかって。個性、オリジナル性をもっと探す、自分もそれを意識しているんですけど、あるものをやるのは簡単だと思うので、それをいかに自分の色に変換するかっていう作業がもっと出来たら、もっといいダンサーが生まれてくるんじゃないかなって思います。

ーなるほど。強調めで(笑)。いいダンサー。
いいダンサー(笑)。

ー自分の色を出していこうっていうのは、どういう感じで意識するんですか?
 その都度自分のやりたい事が変わるので、いきなり仕事がやりたくなっちゃうかもしれないし、でも今は感じたままに、フィーリングで(笑)。 うーん、でも、常に意識しているのは、人が見ていて心が掴まれるダンス、表現だったり、人の心に残るようなダンスっていうのは意識していますね。

ーお仕事が増えてきて、1年に何個もいろんな公演を行なったり、やらなきゃいけないことと、やりたいことってちょっとぶつかってくると思うんですが。
 昔はそうでしたね。でも今は結構やりたいことしかやってないですね。やっぱり若くは無いので、昔そういう、やりたくない事ももちろん、それは経験としてやりましたけど。今は自分が本当にやりたい、っていうことをちゃんと見極めやるようにしていますね。自分が楽しまないと仕事も本当に仕事!ってなっちゃうので。出来るだけ仕事も楽しみたいですね。

ー振り付けのお仕事はどういう経緯で増えました?
ね(笑)! インスタとかSNSは、本当は自分のプライベートを伝えるツールだけど、今はすごく盛り上がっているから、それをちゃんと上手く使った方がいいいと思います。アーティストといきなり繋がれたり、1番早い情報が、日本だけじゃなくて世界と繋がっているから。

ーやっぱり自分プロデュースが上手なんですね(笑)!
振り付けは嬉しい事にYoutubeとかインスタを見て、そこで邦楽使っていることが多いので、それを見た人が振り付けをやって欲しいとか、邦楽使い出してから結構増えてきてっていうのもありますね。

ーレッスンには、初心者の方から経験者までたくさんの方が習いに来ますが、レッスンで意識していることとかはありますか?
 毎週来ている人でも、そうじゃない人でも楽しめる内容にしようとは思っているので、初めての人でも楽しめるようにしています。あと1番はずっと言っているけど、みんなが楽しめること。最近レッスンなんかそればっかりですね。なんか今の子たちって、どっちかっていうと、上手くなりたい!とか、かましてやりたい!とか、もちろん大事なんですけど、レッスンはやっぱり楽しむ。みんなでそういう楽しい時間をシェアして、楽しいでしょ? その中で上手くなっていって欲しいっていうのがあります。かますぜ!とか今日ピックされるぜ!とかっていうよりも、楽しんでこそ、それがあるみたいな。楽しんでレッスン毎週やっています。

ーダンスやっている中で辛かった事とか、辞めたいなって思っちゃったことってありますか?
 辞めたいはね、思ったことない。一度も。もちろん息詰まったりとか、どういう方向にいこうとかはありました。

ーダンスで食べていけるようになるまでは、バイトしたりしながら今の生活になった?
もちろん、やっていました。バイトして、深夜練して、寝て、バイトして、深夜練してみたいな。多分この世代みんなそうだと思います。

ーダンスで食べていきたいと思っている方には心強い話ですね。
 自分も東京出てきたってことは、それをもう仕事にするって来たから、続けないと答えは出ない、今の奥さんと一緒にこっち来たので。家計を支えていかないと、ってそこから頑張ったかな? 大黒柱になる訳ですからね。  俺も不安だったし、みんなも不安だと思うんです。ダンスでやっていきたいけど…みたいな。でもそれを超えないと、何にも見えてこない。すごい競争率の高い業界で、全員がダンスでやっていける世界じゃないけど、でも本当にダンサーになりたいんだったら、それなりの努力だったり、自分にしか出来ない表現とかをしっかり見つけていくことが出来るんだったら続けて欲しいなって思う。そしたら自分の道が作られるので、諦めないことですね。

ー諦めないこと、大事ですよね。
本当に何でも、スポーツでも何でも。それが一番大事。

ー最後になりますが、HIGEさんにとってダンスってなんですか?
よくありがちな(笑)。

ーはい(笑)。
 ダンスってなんだろうな、みんな何て言っているんですかね? この質問って、取材を受けたときに最後絶対来るじゃないですか。ダンスとはなんですかって。ダンスってなんなんだろう。うーん。でも楽しいからやっているんでしょうね。気の利いた事言えないですけど、でも本当にそれかもしれない。純粋に楽しいから。うん。なんか最後にすいません。

ー今日はありがとうございました。


HIGE(BUZZER BEATER)
2008年MASTER PIECE GRAND FINAL優勝。三浦大知バックダンサー。清水翔太PV出演。その他、多数アーティスト振付等。

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